歩くまりこの日記

NZを縦断する3000kmのロングトレイル、Te Araroaを歩きながら毎日をつづりました。

はじめに

このブログについて

日帰り登山しかしたことがなかった私が、2019年11月~2020年3月にかけてテ・アラロアを歩き、その日常をリアルタイムで赤裸々に綴りました。TAは10このセクションに分かれており、記事もセクション毎にカテゴリー分けしています。

2023年3月、残りの500kmを歩くため再びニュージーランドへ。3年ぶりのテアラロア、ゴールのブラフまで毎日を綴ります。

Te Araroa(TA)とは

マオリの言葉で『長い道』を意味し、New Zealandの北端から南端まで繋がっている3000㎞のロングトレイルです。日本で例えると宗谷岬から佐多岬まで歩いていく感じかな?スルーハイクには4~5カ月かかります。詳しくは公式サイトでどうぞ。

トレイルってどんな道を歩くの?

TAとして公式に決められたルートが山や森、海や川といった自然の中はもちろん、オークランドウェリントンといった都市、羊や牛の放牧地を通っています。ルートがあるからといって歩行者専用の『歩く道』があるとは限らず、車道や林道、農道、マウンテンバイクのコースを歩くこともしばしば。カヌーやカヤックで進む水上ルートもあれば、フェリーで海峡を渡る、車で対岸まで迂回するなど、歩く以外の移動手段が認められているところもあります。

TAを歩いたきっかけ

もともと海外旅行好きだったのですが、北海道に移住して自然が好きになり、次の旅ではトレッキングをしたいと思うようになりました。周りの人からNZ良いよ!とおすすめされ、DOC(日本でいう環境省)のサイトでTAのことを知ったのが始まりです。台湾一周やベトナム縦断とか、ぐるっとまわる旅が好きだったので、楽しそう!と何も考えずに即決しました。出発の8か月前くらいのことでした。

歩いてみて

想像もしなかった楽しい世界が待ち受けていました。重いザックand長い距離に慣れるまでは心も体もバキバキな辛い日々でしたが、朝起きて濡れた靴下を履く悲しみや、数日ぶりにシャワーを浴びる嬉び、その日その日の達成感を共有するまわりのハイカーとの時間が楽しくて毎日充実していました。体が慣れてくると道路歩きがメンタル的に辛くなったりして、歩きに来たのに歩きたくないとはなんぞや......と悶々したりもしました。

ロングトレイルを歩いて変わったことはたくさんあります。長い距離を歩くことがへっちゃらになった。10g、100gでも軽いギアを選ぶようになった。生活するようにのんびりする縦走を楽しみたいと思うようになった。地球に負荷をかけたくないと思うようになった。

非日常なトレイルでの日々が日常となり、トレイルを終えたあとに落ち込んでしまうハイカーもいます。毎日何かを達成していた日々、ザック一つに生活のすべてを詰め込んで歩いていたシンプルな日々が恋しいと感じる。それくらいロングトレイルで得るものは大きいと思います。

これから歩く人へ

歩き方は自由!

スルーハイクにこだわりがない人、時間やお金に限りがある人は、セクション歩きや南島だけ歩くのもアリだと思います。TAがNZの絶景を詰め込んだ大自然のトレイルかといえば全くそうではありません。北端から南端まで一筆書きに繋いだトレイルなので、『なんでもないような』道もたくさん歩きます。事実、2019-20シーズンは13%(約330km)が舗装路です。自然の中だけ歩きたいからとスキップしているとスルーハイクの意味が感じられなくなるかもしれません。途中でトレイルを離れるハイカーもたくさんいます。特に北島は南島に比べると圧倒的に自然が少なく、南島だけ歩くハイカーもたくさんいます。

Hike your own hike、歩き方は人それぞれ。スルーハイクだけがロングトレイルの歩き方ではないですし、スキップも手段の一つだと思いますが、こんなはずじゃなかった!というミスマッチは残念なので私が感じたことを書いてみました。

予算は?

他のロングトレイルに比べてお金がかかると言われています。スルーハイクの予算は30~50万円。南島ではDOCの山小屋泊が主になり、あまりマチを通らないので節約できますが、北島ではホリデーパークに泊まることも多く出費がかさみます。ビールやコーヒー、レストランでの食事にお金を使い始めると出費スピードが増します。ちなみにこれはトレイル生活の予算であり、往復の航空券やギア代などは含まれません。ULギアを一から揃えると30~40万程かかりました。

※追記、トレイル予算はTA公式サイトをどうぞ。物価高により2023年は10,000ドル準備となっていました。

宿やレストランなどでTAハイカー向けの割引があるのはありがたいことです。特にYHAでは当日の窓口予約に限り宿泊料金が30%OFFになります。ゼロデーを取りたいマチでこの割引は大きい!

※追記、2023年時点、このYHAの割引は無くなっていました。

準備はしなくても大丈夫?

数年前から調べはじめたとか、エクセルに日ごとの計画を立てたとか、他のスルーハイカーのブログを読んでいると私って準備不足かな?と不安になりましたが、計画は無くても大丈夫でした。TAアプリのトレイルノートを読んで、次のスーパーがどこにあって、何日分の食料が必要か知っているだけで十分です。