歩くまりこの日記

NZを縦断する3000kmのロングトレイル、Te Araroaを歩きながら毎日をつづりました。

DAY#90 Tarn hut to Top wairoa hut (14)

6時半に起床。
ニュージーランドに来てから何回か見てる夢をまた見てしまいました。飼い猫の存在を忘れていて衰弱させてしまう夢。うちのニャン。なぜか缶に入っていて、パカッとあけては、あ〜ニャンごめん〜と、小さくなって動かないニャンを両手の上にのせて悲しくなる夢。

いつも観てくれる人に預けているので安心なのですが、飼い猫をほったらかしてニュージーランドにきて、ニャンのことすら忘れているのが良心の呵責なのでしょうか。
ドイツの子達はまだ寝ているようだったので、外のテーブルで朝ごはん。8時には出発です。

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歩きやすい遊歩道を延々と歩くのですが、色んな意味でドキドキしながら歩いた昨日までのトレイルと違って単調で、なんだか飽きてしまいました。次のハットまでたった6キロくらいなのに……

早々と座って休憩して、重い腰を上げて出発すると、向こうからひょっこり、こんにちは、私はパピです。よろしく!とハイカーがやってきました(笑)フランス人のパピはそろそろ日本人に会うだろうと聞いていたそうで、得意の日本語で話しかけてくれたのでした。水がないというので、持っていた1Lの半分をあげました。私も今日は次のハットまでの水しか背負ってなかったので、たくさんあげれなかったけど……荷物を軽くしたいのは分かるけど水はたくさん背負うものです!!特に夏シーズンな今、ハットの水でさえアテにならないこともあるし、手に入れられるところでたくさん手に入れるべき。

ミッドワイロアハットまで急斜面をゆっくり下り、4日ぶりに川を見ました。顔を洗うのも遠慮するほどハットが水不足になりつつあったので、流れる大量の水をみると無性に嬉しい!

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吊橋を渡ってハットに向かっていると、人懐こいロビンがお出迎え。足元まできます。f:id:mariko_sugiyama:20200215142135j:imagef:id:mariko_sugiyama:20200215142147j:image

12時半くらいに到着。サンドフライに襲われながら川で自分と服の洗濯!冷たい水が気持ちいい〜。ハットの中でお昼ごはんも作っちゃいます。そして贅沢に1時間の昼寝。暑くて汗をかきながらウトウト寝て、アラームで起床しました。

次のセクションは川沿いのトレイルで、急な斜面を岩伝いに歩いたり川渡りが何回もあって、難しいと感じる人もいます、とトレイルノートに書いてあります。昨日の疲れが残っているのか、今日はなんだか足が進まないので、ここで終えたい気持ちもありますが、火曜日に天気が崩れるらしいので、できるだけ先に進んでおかなければなりません。

歯磨きをして身支度していると、フランス人のジュールがやってきました。今日の目的地は同じトップワイロアハットです。

3時頃に出発、川沿いの斜面を歩きはじめました。さっき石鹸で洗った髪は自然乾燥でもしゃもしゃです。タオルをはちまき風に巻いていたのですが、耳の後ろあたりの髪の中に虫が入りました。大きかったので、そこらへんをよく飛んでるマルハナバチかな、と思いながら指でそっとすくいますが、髪がもつれていて、なかなかすくえません。もう一度そろーっとすくった瞬間……チクーっと鋭い痛み!!ああ、やってしまった(泣)ハチはまだモゾモゾしていますが、これ以上さされたくないし、自分で取り除くわけにはいきません。なんとなく髪をかきわけて、下を向いて、自然に出ていってくれることを願いながら、ジュール、早く来ないかな、いや、待つよりハットに戻ろう、まだ30分も歩いてないし、と歩いているとすぐにジュールがやってきました。ハチにさされたの、ハチがまだいると思うんだけどとってくれない?というと、恐る恐るハチを払ってくれました。ポイズンリムーバーなんてもちろんないけど、しぼったほうがいいよな、とタオルを渡したけど、言葉が通じないのか、何をどうしたらいいのか分からないのか、テキパキやってくれません。もう自分でやる!と、見えないままなんとかギュッとして、チョロチョロ流れる小川に浸けて冷やしました。

前の職場でハチアレルギーの検査をしたとき、いくつか項目があり、何かが陽性だったのでエピペン処方対象になったのが心配です。アナフィラキシーショックでたらどうしよう!!と軽くパニック(笑)電波は通じないし、PLB押しても一番近い林道まで5時間かかるし、レスキューが来るまでには窒息してるわ、と思いながら、アレルギー反応がでないことを祈るばかりです。

刺されたところはズキズキしています。一度先に進みかけたけど、次のハットまで数時間歩く間に気分が悪くなったらどうしようもないので、来た道を戻っていると、向こうから片目眼帯をしたハイカーがやってきました。開口一番、ちょっと助けてくれる?ここどうなってる?とシャツの襟首をまくるので、ハチにさされたの?私も!というと、Sharp pain?うんうん!アレルギーある?ないといいけど、私はあるかもしれないの、どうしよう、2回目がやばいんだよね?1回目は大丈夫だよね?うん!と言うので、先に進むことにしました(笑)何かあったらホイッスルを吹いて、お互いに駆けつけよう、と(笑)それにしても同じところでふたりとも刺されるなんて、トレイル上にあった巣にトレッキングポールでも突っ込んでしまったんじゃないかな。

今日はなんだか空が霞んでいて、太陽の光がオレンジに森を照らしています。変な感じ。川沿いを上流に向かって歩き、いくつも滝を見ました。水がとっても、きれいで、ごくごく飲みたくなります(笑)トレイルノートにあったとおり、足と手が短い人にはちょっと厳しいな、という崖ゾーンが何箇所かありました。

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ジュールに追いついたり、追い越されたりしてトップワイロアハットに到着。ハチにさされた眼帯の人はだいぶ前に到着していたようです。NZのゴア在住のセバスチャン。外のベンチテーブルで静かに本を読んでいて不思議な雰囲気です。ジュールもご飯を作って外に出たので、私もお邪魔したけど、セバスチャンは一言も発さないし、ジュールも静かだし、なんだか不思議な雰囲気がただよっていました。空が一気に曇って雨でも振りそうです。セバスチャンが、明日は降らないと思うよ、というので降らないんだと思いますが。

セバスチャンはストーブなし、ザックも4-5キロっぽく見えます。朝6-7時から12時間くらい歩くのがいつものペースらしい。私が見てきた速いハイカーを凌ぐ速さで歩いてそうです。NZのおすすめの山をたくさん教えてもらいました。なんだか面白そうな人なのに、二度と会えそうにないのが残念!

十時には就寝。風が強く吹いています。