歩くまりこの日記

NZを縦断する3000kmのロングトレイル、Te Araroaを歩きながら毎日をつづりました。

DAY#109 Locke stream hut to kiwi hut (8)

起きたら7時。7時起床がこの頃の習慣になってしまっています。明け方まで雨が降っていました。いつまた降り始めるか分からない空だったので、ササッと荷物をまとめてロックストリームハットに向かって歩き始めました。隣にテントを張っていたアヌックの姿はすでになく、藪角を曲がるとまだ寝ているアダムたちのテントが4つ。

ネズミで悪名高いロックストリームハットにつくと、ドイツ出身NZ在住のカトリーナ、NOBOのおじさんがいました。人間が起きて行動していてもネズミが普通に出てくるそうです。

ザーッと雨が降り始め、カトリーナとやってきたローラは川が増水する前に、と出発していきました。私も紅茶とクスクスをかきこんで追いかけるように出発。8時半です。

すぐに川渡りポイントにやってきました。対岸の遠くにカトリーナとローラが見えるので、渡れるということ。オレンジ三角で示されたところを渡りかけましたが、膝上まである速い流れに、いやいや、これは危ないと引き返します。ウロウロ歩き回ったあと、さっきのところでもエイヤっと渡れば流れに負けないかもと思い、もう一度トライしましたが、川の真ん中に近づくと出した足を持っていかれるくらい流れが強かったので、やっぱり回れ右。回れ右の判断も早くしないと手遅れになってしまいます。少し怖かった。川が二手に別れる上流でトライ。流れる速さは同じでしたが、水位が膝下と浅かったので、無事に渡ることができました。

ロックストリームハットから次のキウィハットまでは過去の洪水の被害か、トレイルはほぼありません。道標すら全く見かけません。草の倒れ加減や石の踏まれ具合をみながら「トレイル」を探して歩きます。たま〜にポールや三角があり、あ、ここで良かったんだと思うくらい。ほぼ平らな川辺を下流に向かうだけなので迷うことはないと思ったのですか、先に行っていたローラはなぜか対岸に渡ってしまい、朝一番の渡渉より怖い思いをして渡りかえさなればならなかったそうです。

アヌックのガーミンに送られてきた天気予報では、午前中はシトシト、午後からザーザーな予報でした。

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無事12時前にキウィハットに到着。アヌックが一人でランチをしていました。ここから先は一人では渡りたくない大きな川渡りと、道なき河原歩きが待っています。天気も悪くなるので今日はkiwi hutに泊まることに。

しばらくするとローラ、アダムとベアトリス、ピーエー、カトリーナがやってきました。ハットの中はボトボト水がしたたるみんなの濡れた服でいっぱいです。椅子の数が限られているのに荷物が置かれていたり、人のベットの上に荷物を置いてどこが誰のベットかわからず混乱したり、定員オーバー気味なハットの中はプチカオスです。

火起こしに失敗した私とピーエーに続いて、アダムが火を起こしてくれました。

しばらくするとフルヌイno3ハットから出発したというオーストラリア出身NZ在住のクリスとドイツのヤンがやってきました。ハーパーズパスを越えてから雨がひどくなり、川の水位が上がって水が濁っていく様子を目の当たりにしたようです。これで6ベッド(プラス玄関に1ベッド)の小屋に9人!クリスとヤンは床で寝ることになりました。

ハットですることもないので、食料を並べて、下着を洗濯して、足のマッサージをして、スナックを食べて、食べて、食べて……アヌックは悪天候で足止めをくらうのを予想していて、映画をダウンロードしていました。賢い!

このセクションは残り3日でアーサーズパスという人里に出るのですが、最後は滝登りや岩登りをしながらディセプション川を上流まで登っていくgoat passというトレイルに入ります。過去に亡くなったトレイルランナーやヘリで救出されたハイカーもいるくらい、水位が低く天気が良いときだけ、とオススメされています。明日道路に出れるので、ひとまずアーサーズパスに直行して様子をみようかなと思っています。

クライストチャーチで6日も休み、あまりモチベーションも戻らないまま歩き始めたこのセクションですが、景色は良いし、歩いていて楽しいです。もちろんサンドフライは嫌だし道迷いも嫌だけど、少しくらいのハプニングがあったほうが冒険感が増して楽しいのかもしれません。

アヌックやローラと話していたときに、タラルアやリッチモンド、ネルソンレイクスと景色はすごく良いのに疲れていたの、その後は休憩が必要だったと。あーみんな同じなんだな、と少しホッとしました。一時は、スルーハイクを断念する人はこんな感じで辞めていくんだろうか?と頭によぎるほど、どうあるき続けたらよいか分からないという気分になっていました。気を張る大きなセクションを終えたあと、そういう気持ちになるのは自然なことなのかもしれません。

アヌックのガーミンに送られてくる天気予報によると、明日の午前中はくもり、1時から雨の予報です。雨が降り始める前の12時ぎりぎりまで待ってから、みんなで川を渡る作戦になりました。午前中いっぱいは狭い小屋で9人で過ごすことに。なんだか連帯感が生まれています。